新型40000系を40両増備 「サステナ車両」は? 西武の設備投資計画 ホームドア整備加速

西武鉄道は2023年度、鉄道事業で総額251億円の設備投資を行い、新型車両の増備やバリアフリー設備の整備、新宿線の連続立体交差事業、次世代に向けた技術革新などを進めます。

• 利用者3000人未満の駅もバリアフリー化へ
• 【図表で解説】西武鉄道の鉄道事業設備投資の内容、連続立体交差化による踏切除去数
• 連続立体交差と新地下通路で「次世代新宿線」へ

利用者3000人未満の駅もバリアフリー化へ

同社は2023年3月18日(土)から「鉄道駅バリアフリー料金制度」に基づく料金の収受を開始しており、これを活用してバリアフリー設備を充実させます。

ホームドアは、1日あたりの利用者が10万人以上ある6駅22番線にすでに設置されていますが、それ未満の駅にも対象が拡大します。直近で整備に着手する駅は8駅23番線で、内訳は池袋駅(1・7番、特急ホーム)、中村橋駅、富士見台駅、練馬高野台駅、石神井公園駅、新桜台駅、東村山駅、新所沢駅です。そのほか、花小金井駅、小平駅の2駅6番線で新たな整備に向けた検討が始まります。

西武では、1日あたり利用者3千人以上の駅で段差解消が完了していますが、それ以外の駅でもバリアフリー化が進められます。今年度は吾野駅にスロープが設置され、ホーム上では内方線付き点状ブロックが整備されます。

そのほか、輸送障害発生時に4か国語で情報を発信する列車運行情報提供システムの整備や、老朽化したエレベータ・エスカレーターの更新も実施されます。

踏切安全対策として、踏切支障検知装置の能力を向上するほか、踏切内の異常を知らせる信号とATS(自動列車停止装置)との連動が図られます。また、画像解析技術を用い、踏切内に取り残された人を検知して列車に知らせるシステムが新たに設置されます。そのほか、列車内の安全を確保するための車内防犯カメラ、事故や列車妨害行為を分析するためのドライブレコーダーも導入されます(西武鉄道の鉄道事業設備投資の内容、連続立体交差化による踏切除去数など詳細は下の図表を参照)。

連続立体交差と新地下通路で「次世代新宿線」へ

環境負荷削減の取り組みとして、消費電力を旧型車両(2000系)より約60%削減した新型の通勤車両40000系が4編成40両増備されます。車いす・ベビーカー利用者に便利な「パートナーゾーン」を備えており、安全性向上のため車内防犯カメラも搭載します。また、既存車両では、より省エネ性能の高いVVVFインバータ制御装置と電動機に更新する工事が6000系1編成10両に対して実施されます。

これらの車両新造や機器更新に加え、「サステナ車両」を導入して省エネ化を加速します。無塗装車体、VVVFインバータ制御車両など、環境負荷の少ない他社からの譲受車両を指す西武独自の呼び名です。現在、準備を進めているということですが、譲渡元の事業者名や車両形式などの具体的な情報は発表されていません。

新宿線では現在、踏切の除去による交通渋滞解消などを目的とした2つの連続立体交差事業が進行中で、引き続き中井駅〜野方駅間で地下化、東村山駅付近で高架化工事が行われます。さらに、野方駅〜井荻駅間、井荻駅〜西武柳沢駅間の両区間でも立体交差化が計画されており、地元自治体と協力し、早期事業化に向けて準備が進められます。

加えて、西武新宿駅からつながる新宿サブナードとメトロプロムナードを結ぶ新しい地下通路の整備に向けた準備も進められ、「次世代新宿線」に向けたまちづくりが活発化します。

池袋線では、映画「ハリー・ポッター」シリーズなどの製作舞台裏を体験できるワーナーブラザーズの新施設「スタジオツアー東京」の開業に合わせ、豊島園駅の新駅舎が2023年4月25日(火)から使用開始されました。併せて、池袋駅でも一部ホームやコンコースがリニューアルされ、ハリー・ポッターの世界観が再現されています。

新技術の投入計画として、信頼性向上とコスト削減を同時に実現する「無線式列車制御(CBTC)システム」の全線導入に向け、多摩川線で実証試験に着手します。信号や分岐器、駅の案内などを一括制御する運行管理システムが老朽化しているため、機器を集約して高機能化した新たなシステムに更新します。また、メンテナンスの効率化のため、転てつ機の状態を遠隔で監視できる装置を導入します。